廃業します

(2023.12.05)


 DRBFMも上司の指示で同僚と二人で始めて30年近く。国内は言うまでもなく、自動車関連を中心に世界にも広く普及しています。この点だけを見れば喜ばしい事とも言えます。
 しかしその目指す所を考えますと現状は満足すべき状況にあると言えるのでしょうか。
 最近も各社を跨いだ自動車部品の関連で多くの対象台数に関わるリコールがマスコミを賑わしています。その部品の供給元は日本トップの部品会社で、独自のDRBFMを展開し、そのOBは会社を設立したり、セミナーの講師をしたりとこの分野で多くの人材を輩出しており、その勢いはDRBFM発祥元を大きく上回るものです。現状はその企業でDRBFMが効果をあげてはいない事を示しています。積極的に進めていると思われる企業ですらこの状況ですから、本当に効果を享受している所は無いと言っても過言では無いでしょう。聞く所によると、発祥元の現状も思わしくはない様子です。
 今の状況を見ますと、田口メソッドなどの様に上手く使えばそれなりの効果が得られる手法であっても一時の流行に終わって、そのうち忘れ去られる運命にある様に思われます。
少なくとも田口メソッドは普及のための組織も作られ、論文も多数発行された様で、個人のレベルに留まるDRBFMとは大きく異なる発展ぶりでした。
 振り返ってみますとDRBFMを始めた当初から随分長い間、今と同じ様に手法の普及が主体で、多くても二日程度の講義と実習で済ましていました。これでは手法を根付かせ、効果を上げることは難しいと思われます。手法についても定年退職を機に一緒に始めた同僚とも異なった道を歩む結果になった様に思います。
 具体的な内容の詳細は分かりませんが、ネットのセミナーの案内などを見る限り、基本的には我々が長く続けてきた手法の理解、普及が主体になっている様に思われます。フォーマットの各欄の埋め方中心と言えます。
  DRBFMの本来の目的は、発生の可能性のある不具合を事前に見つけ出し、予めその原因を取り除き、その発生を防ぐ事にあります。フォーマットはあくまでもその手段にすぎません。現状は手段が目的化された印象を禁じ得ません。肝心の不具合の見つけ方が軽視され、この重要な点が充分には伝授されてはいない様に思います。
 この点で孤軍奮闘とも言える少数派ではありますが、長期に渡りDRBFMの普及を担い、その間効果の得られる手法を考え続けた結果、現時点で最良と思える具体的な不具合の見つけ方を説明しておきます。自分なりにたどり着いた結論とも言えるものです。
 これまでにも何度も述べてきた所ですが、議論の対象が「機能」をどの様に果たすのか、その具体的なメカニズムを明確にする事です。慣れない作業ですので最初は戸惑うかもしれません。しかし慣れてしまえば多分なんでも無くなるでしょう。その「機能」を果たす過程を順に追って行き、上手く果たせない過程の有無を確認して行きます。上手く行きそうにない過程をその時何が起こりそうなのかを表現すれば、それが目指す不具合の内容です。その発生の原因とそれを取り除く方法を考え実行すれば良いわけです。フォーマットは無くてもすみます。ただ記録を残すのが望ましく、結果のまとめに使うと良いでしょう。
 ネットを賑わしているフォーマットの埋め方とは異なりますし、この面でのご要望も望めませんので、年齢も考慮に入れて廃業する事とします。
DRBFMを始めた張本人で大きな志を持って活動してきたにも関わらず、充分な成果もあげられず、力不足で敗北宣言をせざるを得ないのは残念ではあります。
 自分なりの手法を実務で試してみる機会が得られなかった点は心残りでありますが。